2011年12月28日水曜日

身体との会話106・・・PCRTセミナーより2

心身条件反射療法は、脳のパターン化された緊張を診ていき解放することである。この緊張は五感を通した外からの情報や内なる思考からパターン化された緊張がつくられる。この緊張パターンを見つけ出すのに神経筋反射を使ってみていく。

この神経筋反射を見れるか見れないかは、心身条件反射を臨床で使っていくうえで臨床家の生命線とも言える。神経筋反射を見られるようになるのは時間がかかるが、誰でもできることである。根気強くやることが必要である。

やり方は筋力検査や下肢長検査・・その他神経反射を見られるものであれば何でもいいだろう。やり方はどんなことでもいいが、いずれのやり方も反応は一致しなければならない。やり方に決まりはないがうまく引き出せる人とそうでない人がいる。

今年流行った言葉に「想定外」とい言葉がある。物事考えるときは、ある範囲内のことは考えが迄ぶ。一生懸命考える。しかし、それ以外のことは全く考えも及ばない。それが「想定外」である。範囲を広げたり、無限的にか考えると限がなく嫌になる。脳の性質としてなそんな所である。

原発の問題はさておき、心身条件反射療法も同じである。ある緊張パターンを見つけ出していくのに、色々な情報を組み合わせて反応を引き出す。神経反射をみる技術もさる事ながらこの情報の組み合わせを診ていくのも大きなスキルである。

この情報の組み合わせは無限である。こんなものはテキストには無い。その施術を行う先生の知識や体験、成功経験、失敗体験あるいは感が大切である。理屈では計り切れないものである。また、患者さんが意識的なものしか理解出来ないが、意識外の無意識の中に入り込まないとできない。

うまく検査ができる人は、このあたりの探りの入れ方がうまい。型にはまらずいろいろな情報が次から次と出てくる。まして、無意識の反応が想定外のことでも神経筋反射を信じることで対処できる。想定外の事はありえないと思って型にはまっていると先に進まず本質的なと頃まで掘り下げることはできない。

情報は消去法なので、探りを深めていくと狭まってくる。それにより本質的な原因がみえてくる。この探りを入れていくうちに迷子になってしまう方がいる。これもうまくいかない原因である。原因を探っているうちに探っている本人がどこにいるのか(どこの位置を探っているのか)わからなくなり治療が成立しなくなる。

迷子になる人は、やはり型にはまった想定内のことを一生懸命探っている。そんなときは型からはみ出て周りをよく見て、再度探りを深めていくことをしてもいい。この型にハマる方は思考自体に型を持っている。思考自体に型を持つと本来の神経反射反応に迷いが生じ、疑問をもつようになる。

疑問を持ち始めたら先には進まない。いかに型にはまった思考を捨ててニュートラルな思考で神経反射反応を診ていくことが出来るかできないかが臨床効果にあらわれる。「想定外」は政治家の言い逃れの言葉だけにしたいものである。


拳骨

2011年12月19日月曜日

身体との会話105・・・PCRTセミナーより1


先週末はPCRTのセミナーに参加してきた。今年最後のセミナーで毎回出るたびに学ぶことが多い。セミナーの内容もだいぶシンプルになり、より臨床的に沿った内容である。最近の筋骨格系の慢性的な症状はストレスの関与は否定できなくなってきている。これからはこのような治療は必須になってくる。

腰痛の原因とされているヘルニア説も疑問されている。慢性的な腰痛の85%は原因不明、原因が特定できないとされた。要するに構造的な問題ではないということである。現在の西洋医学の概念は身体とこころは分離したものと考えて発展してきている。

その考えのもとに、更に身体をパーツ別に分類して、そのパーツに何が起きているかを見つけ出すことに焦点を当てていた。そして見えてきたのが「結果」である。見えた結果を症状として捉えていることに重きをおいた。

結果を追いかけて、その結果を治療の対象にして対処療法をしてきた結果が、先の報道で賑わいを見たらした「ヘルニアは腰痛の原因ではない」である。ここまでの経緯は長きに及んでいる。既にこのことは1995年に発表されている。

この間、国内の整形外科はヘルニア説はほとんど否定されず、画像重視の検査でヘルニア説を腰痛の原因とし、症状に応じて手術の対象としてきた。その結果、良くなる患者さんもいたが、改善しない患者さんもいる。ヘルニア説が腰痛の原因で有るなら、手術後は改善しなければならない。

また、ヘルニアと言われても保存的に施術を行なっても良くなるケースが多い。ここに診断や治療方法の矛盾が生じる。この矛盾と真摯に向き合わず、高度の医療機器による検査や手術方法が、さも当たり前の如く行われている。

その結果、医療費は膨らみ、腰痛も治らない患者さんが増えてきた。なかにはMRIなどの画像検査を受けることによって改善度が遅くなるという事も起きている。画像による印象的なイメージは脳で鮮明に記憶されて、心理的に影響させている。

先日、来院された腰痛患者さんは、整形外科でヘルニアの診断を受けて手術まではしなくてもブロック注射で様子をみると言われて、何回か行ったが改善できず、更に悪化したために「身体を動かさないように」指導されて、寝たきりの状態になった。

更に、整体にっても同じに言われた、「動くと再発するから安静にしているように」同じ事を言われて半年以上も家事もせず、買い物も行かず、日中も安静にしていて居た。手に負えない患者さんの改善しない原因は患者さんの生活様式に転換して、患者さんを追い詰めてしまった。

これは明らかな「医原病」である。腰痛の原因を構造由来でしかみることのできない医療の落とし穴である。構造でみるために構造を何とかする治療では限界があり、原因が構造でなければ治療は成立しない。他のアプローチをするべきである。

筋骨格の症状を内臓疾患などの病的なものか、あるいは構造的問題か二者選択で行ている結果である。筋骨格系の問題も、新たに心理的な要因で起きているという選択も必要になる。既に始まっている統合医療では、多角的な分野が協力して問題解決に取り組んでいる。


拳骨

2011年12月9日金曜日

身体との会話104・・・AMIセミナーより


久しぶりの更新です。11月のAMセミナー後、更新しようと思っていたのだが出来ずじまいでここまでサボってしまった。さて、何を書こうか・・・前回のAMセミナーで感じたこと。愚痴めいた話になるのでスルーしても結構。

AMI公認セミナーは認定制度がある。この認定制度は任意で受けられる。認定を受けるには筆記試験と実技試験がある。この試験は国内も国際も同じ内容である。初級と上級がある。多くの方がチャレンジして取得している。

試験の合格ラインは結構高い。一夜漬けで合格は無理だろう。普段から臨床で使っていないとできない。認定書ほしさに受けても厳しい。そこそこの臨床で積んで行かないと。しかし、試験では臨床効果を試してはいない。よって、合格した先生のAM臨床効果は試験では問わないし判断できない。(見ればわかるが)

この認定取得に何を求めるのか? 肩書き? 認定書? ANJ、AMIホームページの登録? 目的は様々だろうが、本当に臨床で効果を出せているか疑問である。この認定制度には更新制度がある。認定維持のために年に1回セミナーを受講して更新する制度である。

認定を維持したい先生は年に一度のセミナーには顔を出す。認定維持のためにセミナー参加の目的を求める先生もいる。我々の技術は「手技」であるために理屈より感性が求められる。よって、技術の差がはっきりと出てくる。更に、技術的な癖が顕著に出る。

この癖は自分では気づかないものである。まして、オフィスで一人親方でやっていると誰も、癖を指摘するものがいなく気付くことができない。その癖を修正しないでおくと、癖から自己流になる。そんな先生が年に一度のセミナーに顔を出し、実技を見ていると「認定取り消しだ」と言いたくなる自己流が見受ける。この自己流は下肢長検査に表れる。

現在は認定が国内と国際がある。認定者の自己流が目立つのは国際認定者に目立つ。前回の実技では認定者に下肢長検査をしてもらい、左右差を評価してもらった。その後、小生が左右差を確認することを繰り返し行なった。8割の方が左右の判断に違いがあった。あるいは、左右差は合っていても、#2での明確な差が出ない方が多い。

左右差の評価の間違い、差がはっきりとでない・・・どうしてか? 基本ができていない。ただそれだけである。どうして基本ができないか? 基本は最初に誰も覚えることだが、基本は通過点では無い。原点である。その原点である基本を通過点で通りすぎて振り返ったり、戻ったりしないから基本が無くなってしまう。

癖か癖でないかは基本がわからないと癖もわからない。癖のある人は基本が無い人である。基本がわからないから癖がわからない。更に進んで自己流になる。こうなっては左右差などわかるわけがない。

癖は自分で気が付かないから、間違っていても、自己流でも正しいと思っている。意識的にやっているのでは無いの悪気はない。しかし、臨床の場では患者さんという大切な治療対象がいる。この患者さんに結果を出さす必要がある。評価が間違っていても良くなることもある。

それで良いとするか、メソッドに従って良くなる方がいいか・・言わずと知れた事である。再現性のある評価と結果が患者さんの利益である。もちろんAMだけが全てでは無いので、AMにこだわることもないだろうが、AMを臨床に取り入れるのであればそのくらいは身に付けてもらいたい。

自己流の人は、やはりセミナーに出る回数が少ない。そのため認定維持ために受講している方は、修正も効かなくなっていることもある。セミナーの目的は何であるか? ハウツウであれば形だけ覚えるために数回でればいいだろう。あるいはテキストと睨めっこしてもできる。

セミナーで学んだことを臨床で実践して、わからない、臨床は机上とは違う、テキストはこうだが臨床は違う・・いろいろな疑問や技術的なことの違いや疑問を次のセミナーを受講して紐解くところである。あるいは、自分のオフィスでりんという実践で腕を磨き、どれだけ腕を上げたかセミなー似でて試してみる場所でもある。

次回参加される先生は、遠慮せずにインストラクターを捕まえて自分のチェックをしてもらったほうが得である。下肢長検査の評価もインストラクターとどれだけ違いがあるのか挑戦してもらいたい。是非声をかけてほしい。楽しみにしている。


拳骨