2011年12月19日月曜日

身体との会話105・・・PCRTセミナーより1


先週末はPCRTのセミナーに参加してきた。今年最後のセミナーで毎回出るたびに学ぶことが多い。セミナーの内容もだいぶシンプルになり、より臨床的に沿った内容である。最近の筋骨格系の慢性的な症状はストレスの関与は否定できなくなってきている。これからはこのような治療は必須になってくる。

腰痛の原因とされているヘルニア説も疑問されている。慢性的な腰痛の85%は原因不明、原因が特定できないとされた。要するに構造的な問題ではないということである。現在の西洋医学の概念は身体とこころは分離したものと考えて発展してきている。

その考えのもとに、更に身体をパーツ別に分類して、そのパーツに何が起きているかを見つけ出すことに焦点を当てていた。そして見えてきたのが「結果」である。見えた結果を症状として捉えていることに重きをおいた。

結果を追いかけて、その結果を治療の対象にして対処療法をしてきた結果が、先の報道で賑わいを見たらした「ヘルニアは腰痛の原因ではない」である。ここまでの経緯は長きに及んでいる。既にこのことは1995年に発表されている。

この間、国内の整形外科はヘルニア説はほとんど否定されず、画像重視の検査でヘルニア説を腰痛の原因とし、症状に応じて手術の対象としてきた。その結果、良くなる患者さんもいたが、改善しない患者さんもいる。ヘルニア説が腰痛の原因で有るなら、手術後は改善しなければならない。

また、ヘルニアと言われても保存的に施術を行なっても良くなるケースが多い。ここに診断や治療方法の矛盾が生じる。この矛盾と真摯に向き合わず、高度の医療機器による検査や手術方法が、さも当たり前の如く行われている。

その結果、医療費は膨らみ、腰痛も治らない患者さんが増えてきた。なかにはMRIなどの画像検査を受けることによって改善度が遅くなるという事も起きている。画像による印象的なイメージは脳で鮮明に記憶されて、心理的に影響させている。

先日、来院された腰痛患者さんは、整形外科でヘルニアの診断を受けて手術まではしなくてもブロック注射で様子をみると言われて、何回か行ったが改善できず、更に悪化したために「身体を動かさないように」指導されて、寝たきりの状態になった。

更に、整体にっても同じに言われた、「動くと再発するから安静にしているように」同じ事を言われて半年以上も家事もせず、買い物も行かず、日中も安静にしていて居た。手に負えない患者さんの改善しない原因は患者さんの生活様式に転換して、患者さんを追い詰めてしまった。

これは明らかな「医原病」である。腰痛の原因を構造由来でしかみることのできない医療の落とし穴である。構造でみるために構造を何とかする治療では限界があり、原因が構造でなければ治療は成立しない。他のアプローチをするべきである。

筋骨格の症状を内臓疾患などの病的なものか、あるいは構造的問題か二者選択で行ている結果である。筋骨格系の問題も、新たに心理的な要因で起きているという選択も必要になる。既に始まっている統合医療では、多角的な分野が協力して問題解決に取り組んでいる。


拳骨

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