2011年10月24日月曜日

身体との会話103・・・PCRT研究会より2


ニューロ・パターン・セラピー ガイドブックより

最初は誰でも自信がない。自信がないと技術に表れる。どっちかな? 右かな、左かな・・・迷ったら迷って反応が出る。かと言って思い込みも結果に現れる。ニュートラルで反応に素直に従う。これが身体との会話の秘訣である。

研究会でこんな質問をされた。「やるたびに反応の結果が違う。どうしてでしょうかね」答えは簡単だ。自分のやっていることを信じていないからである。信じる信じないは結果が出ることによって、自信をつけて成功体験から会得する感覚である。

臨床を行うときに、自身を持って取り組んでいるか? どうでしょうか。直せる、治せないではない。自分の臨床に自信が持てるかだ。特に潜在意識で自信が持てないと理屈が邪魔をする。理屈でいろいろ考えて感性を邪魔をするとニュートラルになりきれず、迷いや思い込みが出てしまう。その結果はバラバラになる。

技術的に未熟な部分はあるが、技術は数をこなす経験が必要である。どの技術レベルでもそのレベルでの自信を持ってもらいたい。初心者は初心者のレベルの自信。中級者は中級者の自信を持って取り組んでほしい。

心と身体の関係における症状は様々である。西洋的に専門家された分野ごとに診ていくのでは無く、心と身体の内外の関係性を診ていき、その関係性の繋がりにエネルギーブロックが悪さをして症状に現れると考えるといい。ある人は皮膚に出たり、また、ある人は消化器系に出たり、循環器にでたり、また、筋骨格系にでたりと様々である。

患者さんで雑多な症状を持っている方は、症状の初めは蕁麻疹や発熱であったりするが、そのうち熱が下がったが腰が痛くなた、下痢が続いているなどと次から次と症状が変わる人がいる。アレルギーを代表する言葉に「アレルギーマーチ」と言う言葉がある。最初のアトピーが治ったと思ったら喘息が始まった。

一つの症状が収まったら、次の症状が始まる。西洋医学的にはひとつの症状に専門家が担当するのでその専門性から症状が収まればそれで済むが、本質的には全く治っていない。代替医療も西洋医学の教育を受けて、そのまま臨床に当てはめようとすることが多い。これは理屈の世界の治療である。

10年、20年先の医療のあり方を、どの目で見るかはその先生方の自由だが、それなりの治療理念をしっかり見据えて、その理念が定まったなら自信を持って将来の自分の臨床家としての自信に満ちあふれた姿を見てほしい。

拳骨

2011年10月19日水曜日

身体との会話102・・・PCRT研究会より1


先週末にPCRT(心身条件反射療法:ニューロパターン・セラピー)研究会が行われた。このPCRTは、まさしく患者さんの身体(神経反射)に問いかけて反応を引き出して、患者さんの身体と会話する。身体と会話すると行っても、身体の反射神経の反応を筋肉を通して、神経機能を診ていく手法である。

反射をみることによって何がわかるのか? 診方によるが潜在的な緊張を見ると解釈していいだろう。この潜在的なものは、普段目を向けることは無いが、潜在意識は99%で顕在意識は1%とも言われている。最近の脳科学の進歩で明らかにされている。

また、意識は後付、いわゆるこじつけであるとも言われている。潜在意識が働きその後に意識が理屈をつけて、あたかもその人間の意思が言っているようになっている。では、この潜在意識はどんなときに働いているのか?

例えば、朝ごはんの味噌汁の具は何にしようか? これは意識的な働きで計画する。実際に食べるときに「右手で箸を持つ」「左手でお茶碗を持つ」とそのたびに意識的に考えて箸を持ったり、お茶碗を持ったりしている人はいないはずである。無意識で勝手に持っている。

この無意識での脳の緊張は、身体運動の反射系の働きを乱し、運動系であれば筋肉の過緊張を生じさせる。このことは「共縮」という現象で証明されている。スポーツ選手のイップスや試合前の緊張などが典型的な「共縮」である。身体が緊張で硬くなる状態である。

運動系外にも自律神経も乱し、交感神経が興奮し血流不全、消化器の不調、免疫系の低下まど様々な機能不全が生じる。その結果が各系の病理的な症状に移行していく。最近は心理的なストレスからの症状が多くなって来ているのは事実である。

この無意識レベルの脳の緊張は神経反射の機能を失い、筋緊張が顕著に現れて下肢長反応や筋のトーンの変化に出て筋力検査をすると力が入る、入らないに表れる。筋肉の強弱を評価する方もいる。この変化を評価して潜在意識の緊張を診ていく。

神経反射見るためにには何らかの刺激が必要になる。必要としなくてもできるがここでは誤解が生じるので刺激を加えて反応を見ることを前提とする。この刺激は身体内の物理的な刺激や化学的な刺激、思考でも反応する。

AMなら外的にストレス、プレッシャー、アクティベータ器での外的刺激で受容器を刺激すれば反応する。この反応は下肢長に顕著に現れてそれを氷解する。また、体内外の化学物質で化学物質に反応する受容器が反応する。例えば、梅干しやレモンを食べると口の筋肉が緊張して顔をしかめるだろう。更に、口の中では唾液が出てくる。味という化学物質である。

思考・・何を考えるかで交感神経が興奮して目が冴えてしまう。TVで応援しているスポーツ選手の活躍を見ていると、思わず握りこぶしを握って手に汗をかいていることもある。これらは意外と無意識で行なっている。このような状態で自律神経の乱れや反射神経が乱れて身体内外の各系の乱れを作っている。

この神経学的な反応を診て、評価していくのが「身体との会話」である。AM然り。PCRTもまた然り。身体を機械的に評価すると構造ありきで症状を見てしまう。本質的な原因がどこに隠れているかしっかり見極めることが大切である。機械的に診ていくと結果を見つけても原因は見えないことが多い。

拳骨

2011年10月3日月曜日

身体との会話101・・・受講生からの質問1(半月板損傷)

半月板損傷


大阪セミナーの時に受講生からこんな質問を受けた。他にも幾つか質問を受けたのでシェアして答える。ここでの答えが正解とは言えない。臨床的、経験的に言えることであることを理解し、臨床のヒントにしてほしい。

Q1
「今までロッキングの整復に対してはマックマレーテストの逆方向への方法で機械的に整復していたのですが、AMベイシックスキャンプロトコルにしたがって身体の神経系の調整すれば関節も落ち着くところに落ち着き半月板ロッキングも解除されるのでしょうか?」


四肢の整形外科的検査は大方は機械的に考案された検査である。時には「検査=矯正」にもなる。膝の半月板損傷でみられるロッキング現象は、なめらかな骨軟骨表面の微細な損傷から断裂まで様々である。損傷程度によっても症状が様々である。

ここで半月板損傷におけるロッキング現象は急性期と慢性期に分けることができる。スポーツ現場で外傷性の急性の場合は、半月板のみの単独損傷は少ないだろう。側副靭帯、十字靱帯の損傷も考慮しなければならい。

特に、急性期の外傷で膝関節の腫脹が顕著なときは膝内出血がある。こんな時は関節マニュプレーションはできない。よって対象外である。しかし、なかには負傷時に医療機関に行かず、翌日にカイロや整骨院を受診する方もいる。そんな時にどうしたらいいのか?

負傷時の翌日に来院した患者さんの膝はかなり腫れている。なかには膝関節が全く曲がらない膝もある。血腫があり曲がらなくなっている。引き出し、押出検査をすると緩んでいる可能性がある。断裂している靭帯はどんな手技療法でも治すことができない。転医させることがいいだろう。

十字靱帯や側副靭帯が軽度であれば必ずしも手術の対象ではない。このようなケースは我々の所でも適応になる。(患者さんとのコミニュケーションをしっかりとる)ここでロッキング現象が見られるからといって機械的に外力的に外すようなことをしたら大変だ。痛みで患者さんは大声を出す。

体の関節でもう一つロッキングを起こす部位がある。結構多い。さてどこだろうか? そうです顎関節です。アクティベータ・メソッド第2版では13章にTMJに関する機能障害が詳細に乗っている。参考にするといい。この章でもロッキングやクリック音は下顎突起と関節隆起の間に関節円板が挟まれたような状態になる。

この状態で関節運動がスムーズに行かずロッキングを起こす。では、どうして関節円板が挟まれるのか? 関節突起と関節隆起につながている筋肉が緊張するから関節裂隙の減少がおきて、円盤が挟まる考えられる。もちろんそれだけではない。

TMJノ関節運動の軌道の逸脱もある。しかし、この軌道の逸脱も関節を構成している筋肉の緊張が影響していることは間違いない。この筋緊張が関節構造の異常をきたし、関節運動の異常も起こさせて関節裂隙の減少を起こして関節円板の挟みこみが起こる。

さて、膝の半月板はどうなのか? これも全く同じと考えていい。半月板が部分断裂を起こすと大腿骨と脛骨の間に収まっている状態が通常より広がる? 面積が広がる? なんて言っていいのか適切な言葉が出てこないが、はみ出るような形になる。

そこに大腿と下腿を繋いでいる靭帯、筋肉の緊張によって関節裂隙の減少が起きて、TMJ同様の挟みこみ減少が起きる。TMJと同じような機能障害が起きてロックすると考えてもいい。よって、治療は関節を構成している筋肉の緊張を解除すればいい。

筋緊張が解消されないのに機械的にこうやって、ああやってとやってもできなことは無いが、痛みや反射的な緊張で更に機械的な動きは困難にになり解除ができなることもある。やはり、筋緊張を解除することがいい結果になる。

拳骨