2011年6月15日水曜日

身体との会話81・・・マラソンボランティア2

マラソンやランニングで起きる障害は下肢に集中する。最もである。足を使う競技である。同じランニング系でも長距離走と短距離系では障害が違ってくる。これについてはいろいろな説があるが、やは力学的な影響は否定出来ない。

症状的に見てみると、足部では中足骨の痛み、アキレス腱及び腓腹筋の痛み、鵞足炎、腸脛靭帯炎、下腿シンスプリント、下腿の骨膜炎、膝蓋骨周辺の痛み、大腿四頭筋の痛み、大腿筋膜張筋の痛み、梨状筋、中殿筋の痛み・・・こんな部位が痛みを起こす確率が高くなる。

今回のマラソンで多く見られたのが四頭筋、三頭筋、膝蓋骨周辺の痛みである。現代医学的にスポーツ障害の傷病名をつければ、膝蓋骨周囲炎、三頭筋挫傷、膝蓋靭帯炎などがある。今回の症例は、普段走っていない選手の多くに多い症状として、大腿四頭筋及び膝蓋靭帯炎を上げてみる。

診断法は膝の屈伸をすると膝蓋骨周辺(特に膝蓋骨の下、上)の靭帯の痛み。四頭筋の起始、停止部の痛みが多い。時にアキレス腱の痛みも増発する。これも痛みの部位を追いかけてはダメだ。

現代医学的なスポーツ障害の膝周辺の痛みは、四頭筋の緊張や筋力不足を指摘するが、ここで面白いのは左右比較してみると圧倒的に左が多い。簡単に右利き、左利きの利き足の影響と言い切れるか。右利きが力が強く、左は弱い。こんな単純な推論でいいのか。

こんな根拠で左足の障害が多くなるのか? では、左利きの人は必ず、右足が痛くなるのか? そうとは言い切れない。この疑問を解決するには神経学的に疑問を紐解いていくと納得出来るだろう。その結果、神経学的に治療を進めていけば簡単に痛みを取ることができる。

さて、膝蓋骨周辺の痛みはベーシックやアドバンスでほとんどが痛みが取れる。ベーシック終わった時点で80%は改善しているはずである。腹臥位になっていて#3に持っていくと四頭筋の緊張がある。ベーシックが終わった段階で、その四頭筋の緊張がどこまで取れているかで決まる。

7,8割の方がベーシックが終わった段階で踵が臀部につくくらいに四頭筋の緊張が取れていれば、屈伸したときの膝蓋骨周辺の痛みや、四頭筋の痛みが改善している。スポーツしない患者さんにこの現象を当てはめてみる。高齢者の膝痛、オスグッド、膝の水が貯まる・・全てにおいて同じような四頭筋の緊張が改善すれば痛みは軽減する。よって、基本的に症状別に治療法を変える必要はない。

ベーシックの重要性が理解できたはずである。ベーシックが終わって、立って、再度屈伸して再検査を行う。それで患者さんに満足した痛みの軽減が見られない場合は、今度は二点検査法を行う。この検査で痛みが代償的なものか、あるいは患部自体の損傷なのかがわかる。

患部自体の軟部組織の損傷はそれなりの手立ての治療を行う必要がある。しかし、患部に急性の外力が影響していない限りは二次的な代償性の痛みである。この見極めが早期改善につながる。二次的か、一時的かで治療のターゲットが変わる。

少し機械的な話になるが、関節運動を行うときには、関連した筋肉の働きがある。主動筋、拮抗筋などの関節の動きにともなって働きがある。この働きは、関節運動の位置や動きによって主動筋が拮抗筋になったり、共同筋になったりする。特に、実際の動きは三次元的な伸展、屈曲、回旋によって動く。単純に曲げ伸ばしではない。

教科書的には機械的なみかたになるが、実際は明確にこの角度は主動筋など細かく分けることは臨床的ではない。ここは、大雑把な検査法が生きてくる。この検査法も神経生理学的な減少を応用すると簡単にできる。

神経生理学的には、主動筋が活動すると拮抗筋は弛緩する「相反神経支配」や反射メカニズムには興奮と抑制がある。これを応用するとどちらが二次的な代償性の障害なのか、あるいは、抑制筋はどちらなのかが簡単に分かる。ここまでわかれば治療は主動筋なのか、拮抗筋なのか明確になる。詳しくは臨床研究会の講義で・・・お試しあれ。

拳骨

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