2011年5月30日月曜日

身体との会話76・・急性期の捻挫治療1

おおかたのカイロのオフィスには急性期の捻挫や骨折の患者はこないと思う。柔整などの看板をあげていれば話は別だが。当院は急性期の患者が訪れる。もちろん柔整の資格は持っているので法的に触れることはない。

もし、資格のないオフィスに訪れたらどうしたらいいのか? 例えば捻挫をしてすぐに来院し「先生のところで治療をしてほしい」と来た場合は? 診断権は無いので診断はできない。いくら患者が希望しても診断はできないので、その場で治療を行うまえに医師の診断、あるいはレントゲンなどの検査はやっておくべきだろう。

その上で治療を行う。さらに、この際の治療は「捻挫の治療」ではないことを理解する。ここが大切なポイントである。いくつかの国家医療資格以外は外傷の治療を行うことはできない。よって診断名に対する治療はできないということである。このことは患者とのコミニュケーションをはかり同意を得ることが大切である。のちの信頼関係につながる。

「捻挫」の治療を行わないで何を治療するのか? 患者は捻挫を早く直して試合に出たいから、捻挫を治してもらいたいのである。しかし、資格の無い治療家は治療はできない。ここで施術者が理解することは「捻挫」の治療ではなく「機能障害」の改善である。

捻挫を病理的に見ると、靭帯の部分断裂である。その度合によって手術、固定などの外科的な処置が施される。靭帯の損傷はある程度の時間が必要である。損傷した靭帯の修復はその人の自然治癒力の能力によって早くも、遅くにもなる。そこで思い出してほしい。

手技療法の多くの謳い文句は「自然治癒力」・・聞いたことがあるはずである。既にホームページ等で謳っている先生方もいるはずである。その自然治癒力のメカニズムを知っているか知らないかは別として。このことから靭帯損傷でも早期回復は外科的な治療以外でも可能であることが予測できる。予測というより、既に臨床ではその効果は体験済みであるはずである。

さて、捻挫をするとその痛みで情動的にも影響する。このことは神経学的に痛みの経路の違いで、刺激(外力)が加わった瞬間の痛みと、その後にじわじわ訪れる痛みとは別ものである。このことはセミナーでも話をした。寝ていない方はある程度理解したと思う。

よって、痛みは早期に取り除く、あるいは少しでも軽減することが必須である。のちのちの予後に影響する。そこで手技療法がどれだけ痛みを軽減できるかが問題である。「捻挫」という病理だけ見ると、特に急性の場合は安静が必須と考える。「安静=固定」これもか違いではない。場合によっては必要な処置である。捻挫の度合いによる。

「捻挫」を損傷の程度で3度くらいに分けている。通常、我々が扱える程度は2度くらい迄である。3度くらいになると手術の適応になることもある。この場合は捻挫というより靭帯断裂である。この2度程度までの急性期の捻挫をカイロの適応として治療を行って早期回復つなげるか現在治療中の症例をあげて、次回から検証してみる。

拳骨

2011年5月26日木曜日

身体との会話・・・拳骨日記: 身体との会話75・・セミナーで恥をかくべし

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身体との会話・・・拳骨日記: 身体との会話75・・セミナーで恥をかくべし

身体との会話75・・セミナーで恥をかくべし

セミナーの実技ではテーブルをいくつかのグループに分けて、それぞれグループのテーマごとに行う。そのうち、臨床のテーブルがある。このテーブルは受講生が患者役とDr役になり、患者の実際の症状を改善する実践的な実技である。

小生も数多くのテクニックセミナーに参加したが、ここまで実践的に実技を行うセミナーに出会ったことがない。中には、手順だけ説明して終わるセミナーもある。講師の一方的な講義で終始するものもある。

AMの臨床効果をその場で体験できる唯一のセミナーである。それがAMI本部公認セミナーである。マニュアル的にハウツーを一方的に教えても受講生は何も吸収できないだろう。実技も同じで手とり、足取りと親切丁寧に指導しても身につかないものである。

出来れば受講生も毎回受講するに当たり各テーマを持って受講するといい。あるいは、こんな所をチェックしてほしい。臨床でこんな症状が改善できない・・・セミナーは臨床の疑問を投げかけて解決策を見出す場所でもある。

受講料を払ったのだから、一から十まで親切丁寧に教えてもらうのが当たり前だと思っている方は進歩しないだろう。そんなこともあり(あくまでも小生の考えである。スタッフ全員がそうとは考えていないと思うが・・)セミナーでは受講生が考えて実技を進めていくことが多い。

貪欲な受講生は、インストラクターが回っていくと「チェックして下さい」と声をかけられることがある。インストラクターにとっては嬉しいことである。まっ・・声をかける先生方は(^_^;)だろうが、そこは勇気を出して声をかけてほしい。なにより自分のためである。

ひとつのグループは約5,6人~78人である。チェックを依頼する先生は勇気がいる。初めて顔を合わせる先生やベテランの先生、あるいは初受講生の先生と様々な先生がいる中で、自分が治療した先生の症状の改善や神系関節機能障害の改善が出来ているか再確認してもらいわけだから・・・

チャックしてみると、多くの先生方は症状が取り切れていない事が多い。原因は? 神経関節機能障害が適切に取り切れていないからである。自分では反応がなくなり取りきれていると思ってもそうでないことがおおい。基本的なことが原因である。

特別、患者役をした先生が特別な症状を持っている訳でもない。基本的なこと・・・下肢長検査である。下肢長検査のエラーで見逃しているだけである。今回も何人かの先生をチェックしたがいずれも基本がおろそかである。

オフィスでの臨床は一人親方で誰もチェックしてくれる人がいないので、仕方ないことだが、そこそこ臨床効果が出てくると天狗になる。これは受講生だけでのことではない。小生とて同じである。それこそインストラクターなどとみられていると思わず、足元の小石にも気づかず躓くだろう。

セミナーは臨床の疑問、難治な症例の解決策を見出すヒントを見つける話と考えて、どんどん質問をしてほしい。臨床は正解の無い問題にチャレンジして訳なので、正解を求めて質問しても正解は期待しないほうがいい。しかし、正解でなくても大きなヒントになるだろう。

今回、チェックをされた先生方は気づいたはずである。小生と自分がどこが違うか? 基本が出来ているか出来ていないかの違いだけである。凹んだ先生方には次回もチェックさせていただく。かなり成長しているはずである。

拳骨

2011年5月25日水曜日

身体との会話74

大阪セミナーお疲れさまでした。そういえば大阪セミナーも4年目でした。関西地区の受講生も年々増えてきている。ありがたい事である。ひとりでも多くのAM臨床家を育てたいものである。それが社会貢献につながることと確信している。




さて、今回はたくさんの受講生の参加で会場が狭いくらいであった。受講生にはご不便をかけ不自由な思いをされた方もいるだろう。申し訳ない。特に今回は初めての方を含めて受講回数の少ない先生方が多かった。そいう意味では我々スタッフもいい刺激になった。



反面、複数回受講生の先生方は中だるみの気配を感じた。認定取得後の目標がなくなった中だるみかもしれない。Am臨床は認定取得がスタートであり、そこからが本当の勉強である。もちろん認定取得することは術者も患者さんも価値観が上がることは間違いない。しかし、それで満足しては終わりである。



認定者の先生方には、スタッフはあまり実技指導はしない。何故か? 自分で自分の不足分に気づいてもらいたいのである。技術的は不足分に気づかないのは進歩がない。それで終わりである。臨床で効果を出す先生と出さない先生の違いに、どんなところに差があるのか気づくない方は、何時まで経っても自己満足で終ってしまう。そんな治療は患者さんにも満足な結果をだしていないはずである。



臨床で躓くことは必ずある。その疑問や技術の不足分をセミナーに参加してスタッフにチェクしてもらうことが重要である。自分の未熟さをさらけ出して質問し、チェックしてもらう。受講生の前で恥を偲んで自分の未熟さをさらけ出してもらいたい。そんな勇気ももって受講してスタッフに声をかけてほしい。そのためにあえて手とり、足取りの指導はしない。



今回も2,3の先生方に恥をかいてもらった。かなり凹んだはずだ。他の先生が見ている中で凹まされるのは辛いし、悔しい。しかし、その悔しさを跳ね返して飛躍してほしい。小生がチェックした先生方の共通して修正して欲しいのは、基本である。足長検査、CP、LOD・・・特にコンタクトのプッシュプルが甘い。



CPが適切でも強制する瞬間に緩んでしまい、振動がうまく伝わっていないように見受ける。これだけ修正してもかなり矯正がうまくいくはずである。参考にしてほしい。





初めて受講された方は、ボリュウムが多くて消化不良している方もいるだろう。手順を覚えるのは学問であるから理屈抜きで覚えればいいことである。次回の受講するまでに手順は覚えることで、セミナーも手順以外のことを学ぶことに集中できる。時間の節約になる。



基本である下肢長検査で左右差の変化を見切れることは、少し時間のかかることである。基本は左右差の違いを見ることであるが、左右差の違いばかりに気を取られると神経反射の反応が感じ取りにくくなる。客観的な可視化された左右差がわかるのがAMの売り物であるが、この左右差は神系の反応であることを忘れてはならない。



下肢長検査のコツというか、習得するには左右差に目を奪われないことである。意識の中で左右のどちらが長いか、短いかを集中すると、足の長さばかり視覚情報が働き体で感じることが出来なくなる。集中することはいいことだが下肢長検査で何を見るか、左右差を見る以外に神経反射の異常を感じることもわからなくてはならない。



左右差ばかり集中すると視覚情報が優先して身体感覚が疎かになる。神経反射の異常を先に感じ取ることが優先したほうがいい。左右差はその後に見えるようになる。とにかく練習して体で感じることである。





拳骨



http://blog.goo.ne.jp/gennkotu_1955

このことは過去ログにも、なんども記載してあるので参考にしてほしい。